不動産には新築物件と中古物件があります。日本では新築住宅の取引割合が多い反面、少子高齢化などに伴う空き家問題が地方を中心に拡大しています。
そのため、国や自治体、業界団体が中古住宅(既存住宅)の取引を活性化させようとさまざまな取り組みをおこなっています。その一環として、中古住宅の性能を消費者にわかりやすくしていこうという流れがあります。
今回ご紹介する「安心R住宅」制度はその趣旨に沿った制度になっています。
「まだまだ安心R住宅制度は現場ではあまり浸透いない」とのことです。この制度がどのようなもので、どのような効果が期待できるのか、なぜイマイチ浸透していないかも含め、国の進める新しい制度を学んでいきましょう!
目次
安心R住宅とは?
「安心R住宅」とは、インスペクションと呼ばれる建物状況調査などがおこなわれ、耐震性などの品質を備えた住宅でリフォームがされている、もしくはリフォーム提案がついています。
具体的には、下記の3つの要件をクリアした不動産で、国土交通省より「安心R住宅制度(特定既存住宅情報提供事業者団体登録制度)」に登録された事業団体の審査をパスすると名乗れるようになります。
◆安心R住宅に必要な3要件
- ①耐震性等の基礎的な品質を備えている
- ②リフォームを実施済み、またはリフォーム提案がついている
- ③点検記録等の保管状況について情報提供がおこなわれる
安心R住宅登録事業団体は国土交通省のホームページに掲載されています。
(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000038.html)
不動産屋さんの軒先で見たことあるうさぎのマークの公益財団法人 全日本不動産協会(https://www.zennichi.or.jp/)などが名を連ねています。
安心R住宅を探したい・売りたい方はこのページに掲載されている団体のホームページから探したり、登録団体に所属・登録されている不動産業者に相談したりすることとなります。
ところで安心R住宅の「R」ってなんの意味だろう?と気になるので調べてみました。
この「R」は、Reuse(リユース:再利用)、Reform(リフォーム:改装)、Renovation(リノベーション:改修)の3つのRを意味しているそうです。
この意味を知ったとき、一昔前によく流れていたACジャパンのリサイクル推進の3R(リデュース・リユース・リサイクル)のCMを思い出して懐かしい気分になりました。
なぜ安心R住宅制度ができたのか?
ではなぜ、安心R住宅制度ができたのでしょうか?
その理由は、冒頭に触れた「中古住宅の取引活性化」にあります。中古住宅は新築に比べて、下記の特徴があります。
家を買うときは、このメリット・デメリットを天秤にかけて、新築なのか中古なのかどんな住宅を購入するのか検討していきます。
しかし、デメリットについて建物や不動産のプロならまだしも、一般消費者に中古住宅の「目利き」をするのは困難です。
そのため、中古住宅は「不安」「汚い」「わからない」のマイナスイメージから避けられる傾向にありました。
そんな状況を変えるべく、中古住宅のマイナスイメージを払拭し、「住みたい」「解体」中古住宅を選択できる環境を整備する目的で、安心R住宅制度が2017年に整備されました。
安心R住宅にはどんなメリット・デメリットがある?
審査など手間暇かかりそうですが、安心R住宅になるとどんなメリット・デメリットがあるでしょうか?消費者(買主)にとっては、わかりやすく中古住宅のデメリットの裏返しがメリットになります。
◆買主にとってのメリット
- ・耐震性や品質が保証されているので「安心」
- ・リフォーム済み、もしくはリフォーム提案があるので「きれい(きれいになる)」
- ・建築時の適法性や保険・保証、今までに実施した点検・修繕の情報が開示されてるので「わかる」
- ・築20年超でも保険に加入すれば、住宅ローン控除対象になる
このようなメリットがあるため、買主は安心して中古住宅を購入できるようになる。という効果を狙っています。
立場が逆の大家(売主)にとって、手間暇と費用をかけて安心R住宅の認定をうけるメリットはなんでしょうか?
◆売主にとってのメリット
- ・資産価値・安心感を買主に伝えやすい
- ・広告に「安心R住宅」マークを付けられる
->ブランディングにより売却価格の向上
->安心R住宅目当ての買主へリーチでき販売を促進
売主にとっては、第3者(登録団体)から不動産の品質が高いと「お墨付き」をもらえるので、自分(売主)だけが「いい物件だ!」と紹介するよりも買主への説得力が増します。
そして客観的に保証された物件の「価値」を売却価格に反映できる可能性を高められます。
また、広告に安心R住宅マークを使用できるので、安心R住宅を狙っている客層の検索網に引っかかることができます。
全不動産を検索すると膨大な量の候補になりますが、「安心R住宅」という検索条件が一つ加わることで、かなり絞られた候補に生き残ることができ、引合が発生する確率が増します。
逆にデメリットは、安心R住宅の認定を受けるために費用がかかることです。安心R住宅となるためには、品質を証明するためのインスペクションやリフォームが必要となりますが、その費用はもちろん売主の持ち出しです。
収益を得たい売主にとって追加で費用をかけるのは大きなデメリットであり、この制度がイマイチ浸透しない原因かもしれません。
どうすれば安心R住宅になれる?
それでは、どうすれば安心R住宅になれるのでしょうか?結果から言ってしまえば、安心R住宅マークを付与した広告を許可してもらえればOKです。その過程を中古住宅が安心R住宅として売却されるまでの流れを追っていきます。
この流れを見てお気づきかと思いますが、最初のステップである不動産業者探しが重要です。
リフォームプランの手配や広告などはまさに不動産業者の腕が試される業務となるので、売買仲介の実績やリフォームが得意な不動産業者を探すことが安心R住宅を売却する上で重要になります。
本コラムを掲載しているe-home株式会社は売買仲介業務だけでなく、リノベーションなどの内装についての知識と実績が豊富であります。
クライアント様が物件ごとに会社を変更しなくてもいいように不動産のコンシェルジュとして、売買仲介から物件管理、リフォームまで幅広い不動産業務をカバーすることで、お客様から多くの支持を得ています。不動産に関するお悩みや安心R住宅に興味のある方はまずe-homeまでご相談ください!
いかがでしたか?まだまだ認知度が高いとは言えない安心R住宅制度ですが、国を挙げて取り組む課題解決の一端を担う制度であり、今後注目される可能性もあります。不動産投資を考えていく上で中古住宅は主力となる物件であり、物件に価値を付加するつもりで一考する価値はあると思います。
今回は安心R住宅制度を取り上げましたが、世の中の流れと課題感、国や自治体の制度を調べていくと、先を見据えた取り組みの道筋となりえます。このような制度にアンテナを広げてみるのはいかがでしょうか?