不動産を購入する際に土地権利という欄が販売図面にあると思います。
普通に考えると不動産を買うのだから、権利は所有権で当たり前だろう。と思いますよね。
しかし、実際はこの権利というのは所有権だけではなく様々な権利があります。
今回はその中でも不動産売買にかかわる3つの土地権利を見ていきたいと思います。
目次
不動産売買で出てくる3種類の土地権利
不動産売買で出てくる3種類の土地権利は
- 所有権
- 地上権
- 賃借権
になります。所有権と賃借権は何となくわかるが、地上権ってなんだ?と思われると思います。確かにわかりにくいですよね
一つずつ見ていきましょう。
民法206条に記載:所有権
所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。
となっています。
基本的に排他的に物を支配する権利です。
土地の所有権も法令上(例えば建築基準法等)の制限内であれば自由に建物を建てたり、駐車場として貸したりできるというものです。
所有権はイメージしやすいと思いますので簡単に済ませます。
財産を支配する権利の中では物権にあたります
所有権の説明はこのくらいにしておきました、地上権と賃借権を見ていきたいと思います。
この二つの権利は所有権に対して借地権と言われています。
借地権に関しては、民法上の借地権と借地借家法上の借地権があります。
民法265条に記載:地上権
地上権者は、他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利を有する。
となっています。
まず、土地は他人の所有物でそれを借りて、地代を払うという部分では賃借権と同じです。
地上権の場合、土地の登記簿謄本に地上権設定という登記が必ず入り、売買も自由にできる権利です。
期間は一般的には30~50年くらいが多いと思われます。
後ほど、賃借権の説明の際に地上権との違いに再度触れます。
所有権に次ぐ強い権利と言われており、財産を支配する権利の中では物権にあたります。
賃借権
賃借権は地上権と同じく、土地を他人から借りて、地代を払います。
地上権との違いは売買をする際に地主より譲渡承諾をもらわなければならないことと、賃借権では登記簿謄本上で賃借権設定は地主の協力が必要で、地主は必ずしも協力する必要がないということです。
登記を伴わない賃借権のほうが一般的には多いと思われます。また、地主より譲渡承諾をもらう際に譲渡承諾料を支払うことが一般的で、その譲渡承諾料の金額が地主によりまちまちです。(例えば、売買金額の5%や固定資産税評価額の何ヶ月分や一律100万円etc.)
2種類の賃借権:旧法賃借権と定期借地権(新法)
この賃借権にも更に2種類の賃借権があり内容が異なります。
一般的な呼び方として、旧法賃借権と定期借地権(新法)です。
旧法賃借権というのは昔からある賃借権です。
借地権は契約の際に、借地権の目的という項目があり、何を建てるかが記載されます。
ここに、堅固な建物と記載されればマンション等の建物が建てられます。借地権の契約の場合、期間は一般的に30~50年の期間がありますが、建物が存する限り更新という条項が入っています。ですから、建物がある限りは地主から契約を解除することができません。
マンション等を建てるための借地権だと、一度貸してしまえばなかなか戻ってきません。その為、新たにできたのが新法、定期借地権です。
定期借地権は予め、契約期間は決まっており、契約期間が過ぎると更地に戻して返却しなくてはならない権利です。
近年は定期借地権のマンションも分譲されており、マンションの場合建物を解体して更地に戻す費用も莫大になるため、それらは分譲時に建物解体積立基金として契約終了時の解体費用を徴収しています。
定期借地権の物件は返却する期日は決まっているため、築年数が経つと物件価格も下がる傾向にあり、シニア層の購入が多い印象があります。
不動産売買で出てくる3種類の土地権利のまとめ
以上が不動産売買に係る土地権利です。
基本的に、所有権、地上権、旧法賃借権、定期借地権の順番に価格は安くなっていきます。
同じ条件の土地にある区分のマンションでも所有権と賃借権では差があり、物件価格は約70%くらいになることが多いと思われます。
また、借地権の場合地代の支払があるから月々の支出が所有権より多くなるから損と思われる方も多いと思いますが、借地権の場合、当然のことながら、土地の固定資産税・都市計画税の支払は発生しません。こちらは地主さんが支払います。物件にもよりますが、月々の地代の年間支払額と固定資産税・都市計画税の年間支払額はほとんど変わらないため、大きく損ということはありません。
投資で考えた場合、借地権の物件の方が、取得価格が抑えられるため利回りが翌なる傾向にあります。旧法であれば先にも述べた通り、建物が存する限りは更新になりますのでどこかで土地を返却しなくてはいけないということもありませんので期間利回りで考えれば、一つの選択肢としてかなり有効ではないかと思われます。
一つ注意が必要なのは、出口戦略で売却をする際に賃借権であれば譲渡承諾料が必要になりますので、譲渡承諾料がスゴイ高い物件は避けたほうが賢明だと思います。
借地権は土地は自分のものではないからと避ける方がかなり多いのですが、実質の部分ですと場合によっては所有権より有利なケースもあると思いますので、敬遠せず一度細かくみて検討されてはと思います。