今回ご紹介するのは、日本全国で問題化している空き家についてです。不動産が高すぎて一般的な収入の人が購入するのが難しくなっている問題がある反面、だれも住んでいない空き家が増加しているというもったいない状況があります。
なぜ空き家は増えているのか?空き家はどうにか有効活用できないか?本コラムを通じて学んでいきましょう!
目次
増え続けている?空き家の状況
空き家とは人が住んでいない戸建て住宅のことを主に言います。住んでいないが何かしらの用途で所有者が利用しているケースもありますが、大半はまったく利用していない空き家となっており、その数は年々増加している傾向にあります。
総務省が2018年に実施した住宅・土地統計調査(https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2018/pdf/kihon_gaiyou.pdf)によると、賃貸や売却用、もしくは別荘などの二次的住宅を除いた「その他空き家」は348万7千戸となり、総住宅数に占める空き家の割合は5.6%となっています。
この数は調査年の20年前である1998年から1.92倍(182戸→349戸)と約2倍近くに増えています。
空き家が増えることで発生する問題
空き家が増え続けることでどのような問題があるでしょうか?考えられる中で代表的なふたつの問題をここでは紹介します。
ひとつ目、空き家は所有者に居住空間や収益などの便益を生み出していないのに、固定資産税や維持費用を支払い続ける必要があります。もうひとつは地域への悪影響があります。
人が住んでいない空き家(空き部屋)がマンションであれば、管理組合があるのでその部屋の住民がいなくても建屋の保全は最低限実施されます。
なので、廃墟化してしまうリスクは戸建て住宅の方が高くなります。そして、廃墟化してしまうと建屋や塀の崩落で人に怪我をさせてしまったり、害虫・害獣が発生する可能性があります。
また、管理者がいないことによる不審火や犯罪者に利用されるおそれや、「割れ窓理論」による周辺の治安悪化など、様々な悪影響が考えられます。
もし、周辺の悪影響が許容範囲を超えてしまった場合、損害賠償請求や自治体による強制代執行による撤去となる可能性も否定できません。このように利益を生むどころか損失を生んでしまう不動産のことを俗に「負」動産と呼んだりします。
2015年に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法」によって、自治体は特定空家等に対しては、除却・修繕・立木竹の伐採等の措置の助言又は指導・勧告・命令が可能となりました。
さらに要件が明確化された行政代執行の方法により強制執行が可能となりました。この「特定空家等」とは、以下の空家等をいいます。
- 倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
- 著しく衛生上有害となるおそれのある状態
- 適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
- その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
これらの条件に当てはまる空き家は自治体が強制力を持って対処できるようになったのです。
なぜ空き家のままにしているのか?
それでは、なぜデメリットばかりの空き家をそのまま放置しているのでしょうか?物置に使用しているなど、なんらかの理由で空き家を利用している状態を除くと、「解体費用をかけたくない」「特に困っていない」「取り壊すと固定資産税が高くなる」といった空き家が引き起こす問題から目を背けているような「現状維持という名の放置」とも言える理由が多いです。
また「将来、親族が使うかもしれない」という実現性に疑問符のつく理由で放置してしまう現状もあります。
本来キャッシュインが見込める不動産という資産を、固定資産税などでズルズルとキャッシュアウトをしていく状況は、まさに負動産と言えます。
例えば、引っ越してしまいもう通えないジムの会費を支払い続けるでしょうか?車は売ってしまったのに、駐車場を契約し続けるでしょうか?使わないモノにお金を支払い続けると考えるのは苦痛だと思います。
不動産も処分するなり有効活用するなりして、一方的なキャッシュアウトを止める必要があります。
また、先述した空家等対策特別措置法によって、特定空家等に対する措置としての「勧告」を受けると固定資産税等の住宅用地特例の対象から除外されてしまいます。そうすると固定資産税も上昇してしまうのでさらに状況は悪くなっていきます。
空き家はどのように活用できる?
不動産で収益を得る手段として、賃貸不動産として貸し出すのが定石です。しかし、空き家は大概が築年数の古い不動産なので、そのまま貸し出すのは難しくリフォーム・リノベーションをしないと借り手が付かない状況も考えられます。
費用をかけて立て直すことも手ですが、家屋が狭くなる可能性があります。立て直すと現在の基準で定められた建ぺい率でしか建てられないので、空き家が建設された当時の建築基準法ではOKだった現存の広さで建設できない可能性があるのです。
また、土地によってはそもそも再建築不可物件で、立て直しができない不動産という可能性もあります。
そのような懸念もあるので、ひとつの手として不動産の特徴を活かした形で活用をするという考えがあります。
古民家を改修して古民家カフェなどの店舗に転換する、古き良き日本の家屋という特徴を活かして外国人向けの民泊にする、これらのように不動産の特徴を活かして価値を高める・役割を再定義することで、「負」動産から利益を生む不動産に復活を図っていくことが空き家活用のひとつの答えとなっています。
まずは今ある不動産を活用してなるべく少ない費用で収益化していくことを目指していき、収益を生む物件であれば売却して利益を得る可能性も出てきます。
しかし、空き家は中古物件であり、大体の空き家は相当な築年数になっているのでリフォームは必須となります。さらには、その土地・建物がどのように活用できるか、どのようなニーズが見込めるのか、戦略的な空き家活用のプランも必要となります。
それらは中々個人で対応していくことは難しいので、プロの力を借りる必要がでてきます。リフォームや不動産の状況から適切なアドバイスができる専門家の力を借りるのが空き家活用の近道となるでしょう。
貸す・売るだけじゃない不動産ビジネス~空き家活用編〜まとめ
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