「不動産投資をして不労所得を得たいなぁ…」と妄想しているサラリーマンはかなりの割合でいると思いますが、元手や失敗のリスクを心配して二の足を踏んでいる方がほとんどでしょう。では、打率10割でなくても高打率で成果を上げてご飯を食べている、不動産投資のプロたちはどこを見て投資する不動産を決めているのでしょうか?プロの視点を知ることができれば、不動産投資へのハードルも少し下がるかもしれません。
投資に絶対はありませんが、成功するためにはなにかしらのセオリーがあります。いろんな投資本がありますが、1冊だけだと特殊な方法なのか定石なのか判断が難しいケースもあります。
そんな中「みんなはどうしてるの?」と広く聞いてみた結果を知れるのが、国の調査結果です。調べてみると国は意外と (?)いろんなことを調査しています。
今回ご紹介するのは、不動産投資のプロたちがどんなポイントを重視して投資する不動産を決めているか。国の調査結果からその動向を学んでいきましょう!
目次
不動産を投資するときに見る要素
国の調査ではどんなことを聞いているのでしょうか?国土交通省は数年ごとに「国内不動産投資家アンケート調査」という調査をしています。これは、不動産投資・融資の動向や、投資家から見た政策上のニーズや課題などについて、国内の不動産投資家を対象に行った調査結果を公表しています。最新版は令和元年度の調査となっています。
この調査の対象となるのは、①厚生年金基金などの企業年金。②Jリート、私募リート・ファンド。③銀行や保険会社などの金融機関。④不動産会社などの事業会社。に属する企業・機関が対象になっています。
これらの企業・機関は不動産投資事業で収益を得ている、まさにプロの不動産投資事業者と言えます。
この調査の中で「不動産投資判断における諸要素の重視度」について聞いている設問があります。
この「諸要素」はプロが投資をする際に考えるポイントであると言えます。
不動産投資で得られる収入は大きく分けて2種類
上記の要素の中にもあり不動産投資を考える方でまず考えるのは収入についてです。不動産投資で得られる収入については大きく分けて2種類あります。
それは、インカムゲインとキャピタルゲインです。この言葉は不動産投資だけでなく、株式投資などでも用いられる用語です。これらはそれぞれ次のような意味があります。
◆インカムゲイン
インカムゲイン(Income Gain)とは、運用益のことをいいます。資産運用や投資に対するリターンのことで、株式や不動産を所有することで得られる利益をいいます。
たとえば、賃貸用不動産に投資した場合、家賃収入がインカムゲインです。これに対して、不動産を売却して、購入時よりも高く売れた場合、その売却益をキャピタルゲインといいます。
かつてバブルの時代には、キャピタルゲインを期待した不動産投資が主流でしたが、現在では、不動産本来の価値であるインカムゲインに着目した不動産投資が重視される傾向にあります。
投資額(元本)に対する1年間のインカムゲインの率が「利回り」で、不動産の収益性を見る指標となっています。
(引用:株式会社LIFULL不動産用語集:https://www.homes.co.jp/words/a2/525001195/)
◆キャピタルゲイン
キャピタルゲイン(Capital Gain)とは、譲渡益のことです。株式や不動産の、取得時の価格と売却時の価格の差から得られる譲渡益をいいます。逆に、売却によって損失が出たときはキャピタルロスといいます。
これに対して、株式や不動産を所有することから得られる利益をインカムゲイン(Income Gain)といいます。
例えば、賃貸用不動産に投資した場合、賃料収入がインカムゲインで売却した場合の売却益(損)がキャピタルゲイン(キャピタルロス)です。キャピタルゲインは税務上「譲渡所得」となり、個人の場合には原則として申告分離課税です(キャピタルゲイン課税)。
(引用:株式会社LIFULL不動産用語集:https://www.homes.co.jp/words/k2/525001099/)
どんな要素を投資家は重視しているか?
繰り返しになりますが、この調査の調査対象は企業年金機構、J リート・私募リート・私募ファンドの運用機関、金融機関や保険会社、不動産会社・建設会社などの事業会社、投資事業専門で事業展開するプロの不動産投資事業者が調査対象となっています。
では、不動産投資のプロはどんな要素を重視して投資判断しているのでしょうか?調査結果をみていきたいと思います。調査結果を「大いに重視した」の割合が多い順番に並び替えると、最も重視している要素がなにかみえやすくなります。
この結果からプロの投資家は、「キャッシュフローの見通し(インカムゲイン)」を最重要視していることがわかります。
「大いに重視した」と回答した割合がキャッシュフローの見通し(インカムゲイン)は74.3%なのに対し、投資事業では最終的な利益確定となる物件の売却益の見通し(キャピタルゲイン)は30.9%と小さい値になっています。
他に、40%以上が「大いに重視した」と回答した要素は、以下の4つとなります。それぞれの要素でどのようなことがわかるのか、簡単に説明します。
- 周辺地域(狭域)の他の取引における不動産取引価格等の情報
- 周辺地域(広域)における不動産価格の動向(不動産価格指数)
->相場観の把握。不動産の価格が適正かの判断 - 土壌汚染の有無やその処置等の状態
->土壌汚染があると、土の入れ替えなどで多額のコストがかかるため - 正確な地籍情報(境界、面積等)の整備状況
->取引対象となる不動産の範囲を明確化。資産価値を正確に試算する。
なんでキャッシュフローを重視しているのだろうか?
それでは、不動産投資のプロはなぜキャッシュフローを重視しているのでしょうか?
そもそも不動産投資におけるキャッシュフローとは、手元に残る資金の流れであります。継続的に発生する「(家賃等による)収入-(経費・ローン返済などの)支出」によって増減する資金の流れを管理することで把握します。
売却益(キャピタルゲイン)よりキャッシュフロー(インカムゲイン)を重視している割合が圧倒的に多いということは、不動産投資のプロは不動産を長期間保有して収益を得るモデルを志向していると言えます。
不動産投資の事業を継続していくためにも毎月の収益が不可欠です。所有不動産の管理費用や会社の場合は従業員の給料などの経費や、借入の返済・利息支払いなどキャッシュアウト(資金の流出)は毎月毎月発生します。オーナーの生活費も利益がないと貯蓄から賄うこととなってしまいます。
キャピタルゲインを目指す場合、基本的には不動産が売れるまでキャッシュイン(資金の流入)がないため、現金残高が日に日に減っていくこととなります。精神的にもお財布的にもしんどい状況です。
キャッシュの確保は事業継続のための最重要課題です。キャッシュが尽きた時は何らかの手段で資金調達をしなければ潰れてしまいます。
そのため、継続的なキャッシュインが見込めて日々のキャッシュフローが安定する、インカムゲインを重視していると思われます。
いかがでしたか?不動産投資のプロが重視しているポイントを知ることで、投資する不動産を選ぶ時の参考になれば幸いです。
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