いきなりですが、今回ご紹介するのはサブリースについてです!
さて、サブリースと聞いてみなさんはどんなことをイメージしましたか?賃料を保証してもらうことでしょうか?シェアハウスへの投資で発生した事件のことでしょうか?
ニュースなどで聞いたことある気がする、なんとなく知っているという方も多いかと思います。今回はサブリースについて、その仕組みからメリット・デメリットと注意すべき点を学んでいきましょう!
目次
サブリースはどのようなものなのか?
まず初めにサブリース自体について説明していきます。サブリースとは転賃、又貸しを意味しており、「一括借り上げ」や「家賃保証制度」と言い換えられています。
賃貸不動産管理業者(サブリース会社)がオーナーの所有する不動産を借り上げ、オーナーはサブリース会社から賃料を得ます。サブリース会社は入居者を集めて入居者から賃料を得ます。
言葉の通り、サブリース会社はオーナーから借りた不動産を入居者に「又貸し」している状態となります。
オーナーはサブリース会社に不動産を貸し出しているので、入居の有無に関わらず契約によって定められた賃料を得ることができます。サブリース会社は入居者から集めた賃料とオーナーに支払う賃料の差額が利益となります。
サブリース会社からすると入居者がいないとどんどん赤字になります。なので集客力がないサブリース会社はビジネスとして成り立たないモデルとなっています。
サブリースのモデル自体は悪いものではない
様々な事件やトラブルに関する報道で、サブリースにマイナスな印象を持っている方がほとんどかと思います。しかし、サブリース自体に違法性はなく、そのモデル自体がいかがわしいわけではありません。
サブリースを活用することで不動産投資が楽になる可能性もあります。サブリースにもメリット・デメリットがあり、きちんと特徴を把握しないと自分に適しているのかそうでないのか判断できません。
◆メリット
安定した収入
これがサブリースの最大のメリットとなります。不動産経営で最大の敵は空き室です。その点、サブリースだとサブリース会社が借り上げているため、空き室があっても決められた収入を得られます。
管理業務は業者任せ
入居者の募集から退去、集金や契約更新など不動産経営をすると様々な管理業務があります。普通の賃貸不動産でも管理業者に委託すれば管理業務から解放されますが、サブリースだとこれらの管理業務もサブリース会社にお任せになります。
費用負担の軽減
入居者の募集時には広告料が、退去時には原状回復のためのクリーニング費用がかかります。これらの費用はオーナーにとっても大きな負担となります。サブリースだとこれらの費用をサブリース会社が一部負担することが多く、オーナーの負担が軽減されます。
◆デメリット
利回りが低下する
一番わかりやすいデメリットが収入・利回りの低下です。サブリース会社は入居者からの家賃とオーナーに支払う賃料の差額で儲けを出しています。入居者が支払う家賃がそのままオーナーには入ってこないので、直接入居者と契約した場合に比べて利回りが低下します。オーナーの収入は家賃の80~90%が相場と言われています。
保証されている賃料が減額する
「〇〇年一括借り上げ、家賃保証!」という謳い文句のCMが一時期よく流れていましたが、ずっと同じ家賃を保証するとは言っていません。
サブリースの契約書を隅から隅までよく読めば、「〇年ごとに賃料見直し」といった内容が含まれています。築年数が古くなれば賃料も下がっていく傾向にあるので当然ですが、この説明が不十分であったりオーナーの認識が不足していたりしたことがサブリースのトラブルの主要因となっていました。
免責期間が設けられている
免責期間とはサブリース会社がオーナーに賃料を振り込まなくてもいい期間です。新築時や退去後から入居するまでには時間が必要だから、その期間は家賃保証しませんという内容です。
免責期間は1~6か月で設定され、この間オーナーは賃料を得られないので注意が必要です。
なぜサブリースの評判がここまで悪くなったのか
前章のデメリットでも触れたようにサブリースはトラブルを内包しがちなものです。さらにサブリースに関する事件や問題が近年多く発生・報道され、サブリースのイメージはどん底まで低下しました。
特に2018年に発覚した女性専用シェアハウス事業を営んでいたサブリース会社の経営破綻に端を発する事件は、社会に大きなインパクトを与えました。
サブリース会社の経営破綻によりこのシェハウスへ投資していたオーナーの当初の収支計画が崩れ去り、借入の返済が困難になる事態が発生しました。
被害を受けたオーナーが数百人いたことや金融機関が関与していたことから事件は大きく報道されました。この事件は過剰なキックバックや不正融資などと共に、サブリース自体が大いに問題があると世に知らしめるキッカケとなりました。
この事件以前から、サブリース自体は長く存在していました。国土交通省も2016年に「賃貸住宅管理業者登録規程」と「賃貸住宅管理業務処理準則」を改正して、サブリースの借上げ家賃などについて「貸主への重要事項説明の徹底」を打ち出しています。
しかし、サブリースがトラブル化するのは多くは契約後しばらくたってからの賃料の減額がキッカケとなるため、トラブルが表面化するまでのタイムラグがありました。
サブリースの問題は悪質な事業者が原因です。テレビCMでも聞いたことのある会社も集団訴訟を起こされています。いいことばかり強調して都合の悪いこと説明しない勧誘や、一方的な契約打ち切りやオーナーに不利な契約を結ばせるなど、悪質な事業者が後を絶ちませんでした。
一方オーナーに認識不足があったことは否めません。甘い話には訳があるはずなのに、営業員の話を鵜呑みにしてしまい、莫大な投資にも関わらずデメリットや契約内容を把握せずに契約してしまった可能性があります。
半ば騙すように契約をさせた悪徳業者が悪いのはもちろんですが、オーナーが自らの身を守る姿勢が重要となります。正しい知識と冷静な状況判断を保ち、信頼できる専門家に相談できる環境を整えておくと安心です。
国も対策、注意喚起を強化
一連のトラブル・事件により国も対策に乗り出しました。
2020年にサブリース規制や賃貸住宅管理業の登録制度を盛り込んだ「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」が成立しました。サブリース業者と所有者との間の賃貸借契約の適正化に係る措置として、勧誘・契約時に規制を導入し、違反者に対しては業務停止命令や罰金等の措置が加わりました。
(1)誇大広告等の禁止
特定賃貸借契約(マスターリース契約)の条件について広告するときは、家賃支払い、契約変更に関する事項等について、著しく事実に相違する表示、実際のものよりも著しく優良・有利であると人に誤認させるような表示を禁止
(2)不当な勧誘行為の禁止
サブリース業者・勧誘者によるマスターリース契約勧誘時に、家賃の減額リスクなど相手方の判断に影響を及ぼす事項について故意に事実を告げず、又は不実を告げる行為の禁止
(3)特定賃貸着契約締結前の重要事項説明
マスターリース契約の締結前に、家賃、契約期間、契約の更新または解除に関する定め等を記載した書面を交付して説明
参照:公益財団法人 日本賃貸住宅管理協会(https://www.jpm.jp/laws/explanation.html)
また、消費者庁、国土交通省、金融庁の3省庁が連名で注意喚起を行うなど対策を強化しています。
消費者庁(https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/caution/caution_011/)
今後、悪徳業者が駆逐されて市場が健全化していくことで、オーナーの選択肢のひとつとしてサブリースの存在感が増してくる世の中が訪れるかもしれません。