いざ、「不動産投資をするぞ!売却益の出そうな物件を買って、売って、大儲けだ!」と意気込んでも、不動産の購入から売却までを自分ひとりの力でやろうという気合(?)のある一般人は稀でしょう。ほとんど取引は不動産仲介業者を介しており、仲介業者同士でも仲介しあうこともあります。
売主や内装業者や金融機関など不動産仲介業者だけでなく、様々な関係者が一連の取引の流れの中に存在します。
今回コラムでは、とある不動産が仕入れられて売れるまでの一連の流れがどうなっているのかを見ていきます
目次
不動産が売られるまでの大体の流れ
不動産のビジネスというと特殊に見られがちですが、大きな流れはよくある製造業や販売業などの一般的なビジネスと変わりません。材料や商品を「仕入れて」、「付加価値」をつけて、ほしい人に「売る」という流れです。
不動産の仕入れはどんな人がなにしてる?
主に関わる業者:仲介業者、デベロッパー、分譲業者など不動産の仕入れは土地もあれば、既存の建物の場合もあります。地権者や建物オーナーなどの売主を探すことが主なお仕事になります。
営業員が足で探すこともあれば、オーナー人脈で紹介してもらったり、金融機関や税理士・弁護士などから情報を得たり相談されたり、とにかく不動産を売りたい人を探します。
売主をみつけたら、仲介業者であれば媒介契約を結ぶことで、商材となる不動産を仕入れたことになります。もっと分かりやすい例では、不動産会社が売主から土地や建物を買ってしまうこともあります。
売り物が無ければ商売ができないので、不動産の仕入れは不動産会社にとって最重要課題となるのです。
収益化活動はどんな人がなにしてる?
主に関わる業者:仲介業者、内装・外装業者、建設業者収益化活動は製造業に例えると、加工の工程です。製造業だと仕入れた材料を組み立てたり加熱したり形を変えたりして、商品を製造します。この加工によって付加価値が高まり、商品を材料以上に高く売ることができるようになります。
では、不動産にとっての加工工程である収益化活動とはどんな活動でしょうか?仕入れた不動産によって様々な活動がありますが、いくつか例を挙げていきます。
不動産が既存の建物の場合
現存する建物を仕入れた場合、ある程度築年数が経過していたりして補修が必要な場合があります。そこで、リフォームやリノベーションを施して建物をきれいにして価値を向上させたり、耐震工事や修繕工事をして建物を健全な状態にしたりします。
リノベーションなどで建物の価値を向上させることは、築浅でなくても高い賃料を取れる状況の整備や、売却価格を上昇させることにつながります。つまりは不動産の収益性を上げるために実施する活動です。
そのため、リノベーションなどの対応はその建物で得られる賃料や売却益を考慮して、いくらまで工事にお金をかけられるかを計算してからおこなわれます。
また、建物に瑕疵があると責任問題になります。修繕などで不動産の瑕疵解消に費用が必要なことを仕入れる前に考慮しておかねばなりません。
・不動産が土地の場合
仕入れた不動産が土地の場合、さらに選択肢は広がります。周辺の土地も仕入れて1+1=2以上となるような状況で販売したり、それらの土地を開発してマンションや建売住宅を建設してから売ったりなど、様々な活動が想定されます。
この場合も、その土地へのニーズや収益性を考慮したうえで、どのようにすれば一番利益が最大化するのかを計算して実施します。
販売活動はどんな人がなにしてる?
主に関わる業者:仲介業者
販売活動は、仕入れた不動産を買ってくれそうな人達へアプローチしていく活動になります。新聞の折り込みなどでよく見かけるマンションのチラシも販売活動の一環であり、周辺地域の消費者に向けたアプローチとなります。
アプローチの方向は大きく分けて2つに分かれます。その不動産が収益用か居住用かの2つです。
収益不動産
収益不動産とは、その不動産は買主が住むためでなく、収益を得ることを主な目的としています。なので、買主はいかに快適かよりも、いかに儲けることができるかが重要となります。
そんな買主にアプローチする手段は、BtoB営業のイメージが近いかもしれません。自社と付き合いのある投資家やオーナーに直接営業をかけたり、「楽待」や「建美家」などの収益不動産を専門に取り扱うサイトに情報を登録したり、収益不動産を求める買主にアプローチしていきます。
ここで重視されるのが、利回りや維持費用などその不動産がどれだけ収益性があるかです。収益不動産の販売活動をする場合、利回りや税金などの知識も必要とされ、どれだけ買主にメリットがあるかを説明できるかが求められます。
居住用不動産
居住用不動産とは、そのまま買主が住むことを目的に購入する不動産です。買主は主に一般消費者で、その不動産がどれだけ収益性があるかよりも、どれだけ快適でどれだけ利便性があるかを重視します。最終的には「気にいるor気に入らない」の精神論も判断に大きな影響を与えます。
そんな買主にアプローチする手段は、「SUUMO」「at home」「住宅情報館」など賃貸で家を借りるときにもお世話になるような不動産情報ポータルサイトへ情報を登録します。
また、タマホームやダイワハウスなどのハウスメーカーが自社のサイトにも不動産情報を掲載しているように、近年は自社サイトやTwitterなどのSNSを活用した積極的な情報発信も有効なアプローチ手段となっています。
ここでの販売活動は、買主が住むにあたってどんな点を重視しているのか、ライフスタイルやライフステージにあった家はどんな家なのかを分析・察知して、ニーズにあった不動産をいかに提案できるかが求められます。
資金調達関連はどんな人がなにしてる?
主に関わる業者:仲介業者、金融機関
不動産はとても高額な買い物です。収益不動産であっても居住用不動産であっても、銀行から融資を受けたり、ローンを組んだりして購入するのが主です。
無事、購入希望者が現れた場合でも、実際に購入するためにはお金を調達する必要があるため、購入希望者の状況に合わせた、資金計画を立てる必要があります。
無理のない返済のためにも、いかに低い金利で長期間の返済期間で借入を受けられるようなプランニング能力が不動産会社には求められています。
売買契約はどんな人がなにしてる?
主に関わる業者:仲介業者、金融機関、司法書士など
売買契約は、売主の売る条件と買主の買う条件をまとめて書面に起こします。売買価格から諸条件などその内容は多岐にわたることも多いので、慎重な作業が求められます。
契約の条件に漏れや齟齬があった場合大きな問題となってしまいます。契約条件を整理・網羅しつつ、あとでもめないようにあいまいな条件を残さないことが必要となります。
引き渡しはどんな人がなにしてる?
主に関わる業者:仲介業者、管理会社
契約や決済後、図面など様々な書類や鍵などを売主から買主に引き渡します。もし、収益不動産で賃借人が継続して居住する場合、賃借人との賃貸契約書などの関係書類も買主に引き渡します。
このように、不動産を仕入れてから売るまでには、仲介業者を中心に様々な業者・関係者が各段階で関わってきます。契約や登記、融資やローンなど専門的で複雑な手続きも多く必要で、「売りたい!」「買いたい!」だけでは売買できません。まして一般人がひとりでコントロールするのは現実的ではないので、それぞれの専門家を頼っていくのが正解といえるでしょう。