政府与党は令和2年12月10日(木)、「令和3年度税制改正大綱」を決定しました。
目次
2021年個人所得課税についても住宅ローン減税を延長に関して
今回の改正では税制改正では新型コロナウイルス感染症の影響で経済が落ち込む中、厳しい経営環境を下支えするため、研究開発投資に対する税額控除の上限を引き上げや繰越欠損金制度を拡充するほか、雇用を守り、賃上げを行う中小企業を対象にした所得拡大促進税制の延長などを盛り込みました。
個人所得課税についても住宅ローン減税を延長。固定資産税もコロナ禍前の地価上昇に対応するため、令和3年度に限って固定資産税の上昇分を令和2年度水準に据え置くなど、厳しい状況にある方々への対応を行っています。
また、政府与党が掲げる「デジタル化」「グリーン化」の方針に沿った攻めの視点からの新たな税制も創設。納税環境のデジタル化を進めるため、税務関係書類における押印義務も大幅に見直すなど、幅広い改正を含んでいます。 自民党HPよりとのことです。
細かい改正内容は以下の通りになします。
個人所得課税
- 住宅ローン控除の特例の延長等
- セルフメディケーション税制の見直し
- 国や地方自治体の実施する子育てに係る助成等の非課税措置
- 退職所得課税の適正化
資産課税
- 国際金融都市に向けた税制上の措置
- 住宅取得資金に係る贈与税の非課税措置の拡充
- 教育資金、結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の見直し
- 土地に係る固定資産税等の負担調整措置
法人課税
- 産業競争力強化に係る措置
-デジタルトランシフォーメーション(DX)投資促進税制の創設
-カーボンニュートラルに向けた投資促進税制の見直し
-活発な研究開発を維持するための研究開発税制の創設
-コロナ禍を踏まえた賃上げ及び投資の促進に係る税制の見直し
-繰越欠損金の控除上限の特例 - 株式対価M&Aを促進するための措置の創設
- 国際金融都市に向けた税制上の措置
- 中小企業の支援
-中小企業向け投資促進税制等の延長
-所得拡大促進税制の見直し
-中小企業の経営資源の集約化に資する税制の創設
消費税
- 車体課税
- 金密輸に対応するための消費税の仕入れ税額控除の見直し
国際課税
- 国際金融都市に向けた税制上の措置
東日本大震災からの復興支援のための税制
- ・復興支援のための税制上の措置
納税環境整備
- 税務関係書類における押印義務の見直し
- 電子帳簿等保存制度の見直し等
- 地方税共通納税システムの対象税目の拡大
- 個人住民税の特別徴収税額通知の電子化
- 国際的徴収回避行為への対応
関税
- 暫定税率等の適用期間の延長等
- 個別品目の関税率の見直し
以上になります。
この中で、今回は不動産に係りの大きいものについてみていきたいと思います。
2021年「令和3年度税制改正大綱」における住宅ローン控除詳細
まずは、住宅ローン控除についてですが
消費税増税時の対策で控除期間を10年間から13年間受けられるとしたものの期限を延長するものです。
控除の内容については
↑こちらもご参照下さい。
条件は契約が令和3年11月末(新築は令和3年9月末)までで、入居が令和4年末までにすることが必要です。
今回の改正で注目なのが、最低㎡数が50㎡から40㎡に引き下げられることです。
広さについては登記簿記載の面積になりますので、注意して下さい。
これにより、今まで住宅ローン控除が受けられなかった40㎡台のお部屋が対象に入ります。
やはり、住宅ローン控除対象物件の方が価格的に割高になっていた傾向があるため
改正されることにより40㎡台の対象物件が値上がりする可能性があります。
2021年「令和3年度税制改正大綱」における固定資産税・登録免許税・不動産取得税詳細
次は固定資産税についてです。
固定資産税はコロナ禍前の不動産価格の上昇に対応し、今年度については現行の負担調整措置等を3年間延長するのと、値上がりする土地部分については前年度の税額に据え置くというものです。
コロナ禍に対する対策として、負担を増やさないという施策になります。
登録免許税・不動産取得税
また、土地の所有権移転等の登録免許税の軽減措置は2年間延長、土地に係る不動産取得税の特例措置も3年間延長、JREITおよびSPCが不動産を取得したときの登録免許税と不動産取得税の特例措置も2年間延長されます。
2021年「令和3年度税制改正大綱」における贈与税・その他詳細
贈与税
続いて贈与税についてです。
住宅購入時に両親や祖父祖母等の直系尊属から資金の援助を受けたときの贈与税の非課税限度額が引き上げられます。
さらに、床面積要件が住宅ローン控除同様、50㎡から40㎡に緩和されます。
非課税限度額については、購入時期や物件によって異なりますので、個別での確認をお願いいたします。
その他
これ以外としては
不動産特定共同事業を活用した民間不動産投資の一層の推進に向かて、特例事業者等が取得する不動産に係る現行の特例措置を2年間延長するとともに、10年以内譲渡要件の撤廃、借地上の建物追加といった一部要件の見直し等があります。
他にも、マンション建て替え時の軽減措置やリノヴェーション再販時の業者への軽減措置等がありますが、あまり触れる機会の多い項目ではないので、詳しくは大綱をご参照下さい。
今回は令和3年度税制改正大綱の不動産に関係が深い部分をおおまかに見てきました。
税制改正大綱はあくまで決定ではなく、たたき台ですので、今後この大綱をもとに法案が作成され、2月中に国会で審議されます。
その結果、3月中に可決され4月から法施行となります。以前、3月中の可決が間に合わなかった年もありましたが…。
是非一度、ご自身でもこの税制改正大綱をご覧になってみるといいかもしれませんね。